海外に出て感じた、解放感の正体

ワーホリ回顧録

■遅かれ早かれ、いずれ向き合う時はやってくる

なたは、どんな時に心地よい気持ちや、晴れやかな気分になりますか?

家族、友人、恋人、仕事仲間などと一緒に食事や酒を飲んだり。

趣味に没頭したり、仕事で大きなプロジェクトを成し遂げたり。

など、様々な場面があると思います。

これを読んでいるあなたも、これまでの人生の中でいずれかを経験しているはずです。

あるいは、それら全てを経験したことがある人もいるかもしれません。

嫌々やっているわけでなく、自ら進んで能動的に行った結果。

これこそが、冒頭で述べた様な感情の境地に達するために必要なのではないでしょうか。

つまり、誰かに強制されたわけでもなく、自分がそうしたいという判断に基づいた行動。

この先に楽しい、嬉しいといったポジティブな感情が伴ってくると個人的には考えています。

私は、大学卒業するまでほとんど何も自発的に行動を起こしたことはありませんでした。

だから、上記で述べた様な気持ちの変化を味わったことは、ほぼなかったと思います。

もちろん、人並みに友達と遊んだり、アルバイトをしたりという経験はありました。

ただ、物心ついてから進路のほとんど全てを親に決められ、そこに自分の意志は皆無でした。

皆がそうしているから、お前もそうしろと、思考停止でそうしていただけな気がします。

年長者からの意見に逆らうどころか疑問すら抱いていませんでした。

勉強も人並みでやりたいことや一芸に秀でたものなど何もありません。

そして、何も考えずにただその日を漫然として生きていました。

しかし、問題を先送りにしてきたツケがやってくる時が、大学4年の頃に来てしまいました。

就職活動の時期です。

やりたいことなど何一つなかった人間が、やりたくないと思うことに気づいてしまった。

その様な何とも皮肉めいた瞬間でした。

元々、少年期を過ごす中で漠然と感じていた言葉にできないわだかまり。

それがずっと、心の中にある状態でした。

とうとうそれは、抑えきれないほどの違和感となって発現してきていたのだと思います。

当然、大学卒業後の進路として就職を期待されていました。

しかし、そんな自分が遂に反旗を翻す時が来たのでした。

それまでは、まさに飼い慣らされていた状態でした。

テストや入試に必要のないことは教えられません。

なぜ?と感じることは、ある種タブーでした。

そういうものだから」という常套句で丸め込まれていたのだと思います。

そうやって、詰め込み教育を押し付けられていました。

だから、こんな事になってしまったのは、親やその国の教育方針のせいだと。

全てを人のせいにしていました。

ただ、就活の時期に自分の中で、我慢できないと飽和状態に達してしまったこと。

これは、人生における分岐点だったのだと感じています。

自分の頭で考える訓練とその大切さを理解できる様になった。

その様ないい機会だったと、今では思っています。

■自由を感じて気づいた、それまでの不自由さ

がんじがらめの状況で一人暮らしや海外旅行さえもしたことなかった。

そんな人が、なぜ急にワーキングホリデーをするまでに至ったのか?

そして、なぜ、そんな発想に至ったのかと疑問に思われる人が多数だと思います。

詳しくは、別記事でも触れていますので、良かったらご覧ください。

URL:https://neverending-rain.com/meaning-of-workingholidays/

結論から言うと、ただの建前です。

前から興味あったということを理由に、何かに取り組んでいる言い訳がほしかったのです。

そして、環境を変えれば何かが変わると淡い期待を抱いていただけでした。

そんな中でも、心機一転してオーストラリアで海外生活を送ると決意しました

そして、異国の地で自分でやると決めて色々と忙しく日々を過ごしていました。

そんなある日、ふと気づいたことがありました。

以前の様な、何か鬱屈した表現できないモヤモヤした感情がなくなっていることに。

はるかに寝つきも寝起きもよく、身体が軽快でした。

少なくとも、心底嫌々ながら就活を行っていた時期より良かったです。

思い返してみると、それが初めて自由を感じた瞬間だったのかもしれません。

小、中、高、大と進む過程の中で、どの学校へ進学するのか。

加えて、水泳、剣道、塾などの習い事などに関しても全て親に決められていました。

まだ小さかった頃の自分に拒否権なんてもちろんありません。

だから、親の機嫌を損ねない様にただ、聞き分けの良い子を演じるしかなかったのです。

身体が大きくなってからも、頭の方はそれほど成長していなかったのかもしれません。

海外に出るまでは、敷かれたレールの上で無気力な生活を送っているだけでした。

しかし、海外へ行って初めて、全て自分で決めることができた経験。

これは、それまで感じたことのなかった快感でした。

そして、心地よい疲れを感じて眠りにつける。

そんな、日々に些細な幸せを見出していたのだと思います。

■他責思考の稚拙さ

ここまでやれ親が過干渉だった、国の教育方針が悪かったなど。

批判に等しい様な恨み節を書き連ねてしまいました。

でも、はっきり言って、人のせいにし過ぎだと本当に反省しています。

成人した一人の男が、いつまで甘えているのだ。

そうお叱りを受けても何も言い返す権利はありません。

もっと真剣に自分の将来の事を考えて、本当に自分が好きなことは何なのか。

そして、何が好きなのかと自問自答する時間はいくらでもありました。

でも、そうはしませんでした。

正確に言うと、できませんでした。

なぜなら、自分自身と向き合う覚悟がなかったからです。

ましてや、考える訓練をしようともせずにずっと逃げ続けていました。

だから、目の前の課題から目を逸らし続けていました。

そして、ついに逃げられない所まで追い詰められたのでした。

挙句の果てには、もっともらしい理由をつけてオーストラリアへ行くことにしたのでした。

本音としては、それまでのモラトリアム期間を更に延長させたいだけだったのです。

何度思い返してみても、当時の自分の性根は腐っていたと思わずにいられません。

自分の弱さや愚かさを直視する勇気がなかっただけなのでした。

だから、誰かを悪者に仕立て上げて自分自身を正当化していました。

そうしないと、正気でいられないくらい思考回路がおかしくなっていた時期でした。

でも、心のどこかで、「このままではダメだ」「何とか現状を打破したい」。

この様な思いが多少なりともありました。

だからこそ、ワーキングホリデーを決意したのです。

それに伴い、いつまでも子供じみたままではいられない。

自分の尻拭いをしなくてはと気持ちが変化していった気がしています。

そんな前向きな心境の変化が、自分を矯正するきっかけになったのだと感じています。

■責任を負う覚悟に伴う、本当の自由

海外へ出てようやく、そのどうしようもない姿を直視する覚悟が持てました。

そして、それを常に軌道修正しようとする姿勢も養われました。

ただ、常に自分の中で浮き沈みの激しい気持ちの波を情緒的に安定させようとすること。

これは、今となっても、ものすごく労力とストレスがかかります。

同時に自分の根本的な性分なので、おそらく一生涯付き合っていく必要があるでしょう。

でも、かつての自分とは違い、弱さやみじめさを認める強さも身に付けられたと思います。

これは、ワーキングホリデーで培った賜物であると言わざるを得ません。

環境を180度変えて、1年間における全ての行動を自分で決めること。

そして、それに伴うあらゆるリスクを引き受ける覚悟を持つ。

そう考える様になってから、意識が変わっていったのだと思います。

要は心配性である自分が、更に慎重になったということです。

なるべく危険がない様に安全かつ安心に目的達成までのルートを辿れるように。

自分で選んだ道であれば、後悔することがあっても仕方ないと諦めも付きやすいでしょう。

例えば、北部のダーウィンという都市に3ヶ月滞在していました。

目的は、私はセカンドビザ取得のためです。

それにあたり、半年間滞在して慣れ親しんだパースという西部の都市を離れました。

そして、知り合いも縁もゆかりないその土地へファームジョブのために行くと決めました。

それまでそこで過ごして仲良くなった人たち。

それに、色々と生活面でサポートしてくれた、エージェントのスタッフ達。

その様な人達と必然的に離れることになるので、非常に心細かったです。

でも、だからこそ、自分の力が試される時なのだと感じました。

そう思える様になったのは、パースで出会った職場やシェアメイトの人達のおかげです。

色々な話を聞いて、もっと頑張らなければと触発されたのを覚えています。

ダーウィンへの出発の少し前には大き目のトラブルがありました。

だから、内心はかなりビクビクした心境でした。

でも、後ろ向きな感情は全くありませんでした。

やると決めた覚悟に行動が伴っていました。

だから、結果として予想もしていなかった素敵な人たちとの出会えました。

それに、その人達から助けられたことが何度もありました。

それまでの人生で感じたことがないほどの高揚感と解放感を感じた日々でした。

これが自分の力で掴みとった自由だったのだと、振り返ってみてそう思わずにはいられません。


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