不測の事態に備える重要性

ワーホリ回顧録

■気の緩みがもたらした不運

万が一、自分の身に何かあった時の対策をしていますか?

通り魔に襲われたり、交通事故に遭うことなど・・・。

普段の生活の中で、こんな物騒な事を想定して生活してる人はいないかと思います。

何よりそんな事を一々気にしていたら、外出もろくにできません。

それに、そんな事を考えている余裕すらないかもしれません。

皆、日々学業や仕事で忙しい人がほとんどのはずですから。

しかし、この様なネガティブなテーマにもしっかりと向き合う必要はあります。

もし、あなたがこれから海外へ行く予定があるのならばです。

なぜなら、外国では予想外のトラブルはつきものだから。

それは、治安の良し悪しに関係ありません。

例えば、あなたが、実際にワーキングホリデーや留学などで海外へ渡航したとします。

そして、生活も慣れ始めた時にこそ、特に注意が必要です。

気が緩んで身に危険が及ぶ事態が発生するかもしれません。

何を隠そう、オーストラリアでの暮らしにも慣れてきた、4ヶ月目を迎えた頃の出来事でした。

これは、実際に自分の身にふりかかった不幸な実体験から得た教訓です。

ある日、住んでいたシェアハウスから、近くのスーパーへ向かっていた時のことでした。

■流血事件をきっかけに、あることのありがたさを実感

いつも通る店までの道を歩いていると、視線の先に普段は見かけない大型犬が見えました。

数十m先で私の視界に入ったり、消えたりとウロウロしていたのです。

おそらく、飼い主がリードも付けずに放し飼いをしているのだろう。

そして、家の敷地内とその外の歩道を行ったり来たりしているのだろう。

それくらいにしか考えていませんでした。

だから、気にせずにすぐに横切ることになる、その家の敷地の方へ向かっていました。

(もちろん、歩道とその家の敷地内の境目には、門がありました)

しかし、なぜか開けっ放しにされていた、その家の門の前を通り過ぎようとした瞬間です。

犬が私の存在に気づきました。

お互いの距離間としては、10mくらいはあったと思います。

ですが、その犬はほんの一瞬で間合いを詰め、私に向かって飛び掛かってきたのです。

1mほどの間隔まで迫られて初めて気づきました。

これは「遊んでほしい」「じゃれ合ってほしい」というスキンシップではない。

そう、本能的に危険を感じました。

ただ、もう時すでに遅しでした。

とっさに避けようと思った瞬間、身体に強烈な激痛が走りました。

おそらく、この時、何が起こったのか理解できずに一瞬、記憶が飛んだのだと思います。

気づいたら、私は歩道からはみ出て車道上で仰向けになって倒れていました。

しかし、まだ歩道の上から、こちらを見下す犬の姿がありました。

当然、身体に走る痛みが残っていました。

ですが、それ以上に「このままではこの犬に殺されてしまう」。

大袈裟な表現ではなく、この時は本気でそう思いました。

その様な恐怖感に支配されていました。

まず、私は、その場からゆっくり立ち上がりました。

そして、向き合ったまま、そのまま後ずさりをしてその場から離れて行きました。

なぜ、この様な行動を取ったのかは分かりません。

直感的にそうした方が安全だと感じたのかもしれません。

もうそれ以上迫ってこないと判断して、初めて気づいたことがありました。

その時履いていた、スウェットと下着の後ろ左側がボロボロに破けていました。

そして、そこが血だらけになっていたことに。

つまり、左側の尻の肉が、前足の爪で抉られていたのです。

まだ、事態を完全には飲み込めない状況で動揺が隠し切れませんでした。

収まらない激痛と犬が迫ってくる瞬間の残像が恐怖心を甦らせてきます。

緊張感から胸の鼓動が高鳴っていました。

もちろん、買い物どころではありません。

それでも、足を引きずりながら家に戻りました。

すぐさま、日本から持参していた、マキロンとガーゼでとりあえず止血を施しました。

そして、すぐに市内の病院に連絡をしました。

運よくその日中に診察してもらえることになったのです。

この時は、せっかくの海外生活に暗雲が立ち込めることになってしまった。

そう自分の不運を嘆いていました。

それに、治療費はいくらかかってしまうのだろうと新たな心配事も増えました。

しかし、この事に関しては、予想外の結果になったのでした。

■数ヶ月間、寝返りがうてない日々

診断結果としては、全治3ヶ月の重傷。

経過を逐一見てもらう必要があったので、毎週通院していました。

治療の期間で一番辛かったことは、何だと思いますか。

意外に思うかもしれませんが、傷の患部周辺に走る痒みです。

雑菌が入って感染症にならない様にするために、24時間湿布を張っていました。

そのため、湿布による蒸れで強烈な痒みに襲われたのです。

時期的に夏だったので、暑さも痒みを増す原因だったのかもしれません。

当然、掻きたいけど掻けない。

痒みが収まるまで、その様なもどかしさと闘わなければなりませんでした。

寝てる時も炎症の痛みで夜中に目が覚めることも度々ありました。

でも、なぜか、いつ目覚めても、左側へ寝返りをうつ体勢はとっていませんでした。

無意識でも、患部を圧迫する体勢は取らないようにしていたのか。

そんな風に不思議に感じてしまいました。

余談ですが、毎回診察の時はなかなかの辱めでした。

なぜなら、通訳の日本人女性の前で、不格好な姿勢をする必要があったからです。

そして毎回、その人の前で尻を晒さなければなりませんでしたから・・・。

また、担当医の先生に対し、さすが外国だなと思わず苦笑いしてしまうことがありました。

診察の最後は、いつも湿布を張ってくれていました。

しかし、ある時、これでおしまいと言わんばかりに傷口をパンっ!と叩いたのです。

思わず「痛い! 痛い!」と声を出してしまった私を見て、先生も通訳も笑っていました。

こんな事、日本だったらありえないですよね。

もちろん、景気づけのつもりで、悪意は全くなかったはずです。

でも、予想外過ぎる行動だったので、本当に勘弁してほしかったです。

今となっては、話のいいネタとなっていますが・・・。

そんな事がありつつも、怪我は快方に向かっていきました。

なので、思っていたよりもとりわけ日常生活に支障はありませんでした。

そして、一番心配だった、治療費に関しては、なんと全額無料でした。

理由は、海外旅行保険に加入していたからです。

■損したくない気持ちは痛いほど分かるが・・・

もし、この時保険に入っていなかったら、と考えただけでもゾッとしてしまいます。

生活するだけでカツカツなのに通院費を払う余裕なんて、全くありませんでしたから。

交通費だって馬鹿にはできませんでした。

結果的に、今回のこの件に関して、損害賠償請求はしませんでした。

もちろん、その犬の飼い主は、管理面で過失や落ち度はあったはずです。

もし訴えていたら、何かしらの補償はしてもらえたと思います。

でも、そうしなかった理由としては、命に関わるほどの大事には至らなかったからです。

それに治療費は保険で賄うことができました。

あと、1人で交渉するほどの度胸や英語力もありませんでした。

だから、誰かとわざわざ一緒に行くのも忍びないなと思ったのです。

私の様な飼い犬に襲われるという事件は、かなりの稀なケースだと思います。

でも、この実体験から、海外に行く際は、保険に加入しておくことをお勧めします。

それは、期間の長さに関わらずです。

別記事でも述べていますが、海外では本当に何が起こるか分かりません。

それは、良い意味、悪い意味、そのどちらも含んでいます。

不確定なことに投資するのは、心理的にかなり不安ですよね。

保険に入って、それを使う機会がなかったとしたら、結局は払い損に終わります。

それにせっかく楽しい思い出を作ろうと渡航前は、胸を躍らせているものです。

だから、ネガティブなことはあまり考えなくたくないものです。

しかし、予想外の事態に巻き込まれて後悔することになったら、どうでしょう。

金銭的にもかなりの痛手です。

それに、保険に加入済みという事実は、精神的に強い味方になってくれます。

日本、海外問わず、危ない目になんて絶対に遭わない。

そんな事を自信を持って言える人なんていないはずです。

何もないに越したことはありません。

ただ、リスク回避のために海外に行く際は、そこはケチらない方がいいかと思います。

トラブルに遭った際の損害を少しでも減らすという意味も含めてです。

これをきっかけに、保険のありがたさが身に染みた出来事でした。

同時に、外出時は気を引き締めなくてはいけないなと痛感した体験でもありました。

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