■髪を切りたくなったら、どうしたらいいだろうか?
こんな質問をされたら、何を言っているの?と誰もがそう思うでしょう。
当然、美容室や床屋など、色々と候補があります。
それにスマホで探して、近場の好きな所へ行けばいいではないか。
そう感じた人が大半ではないでしょうか。
でも、初めましての人に髪を切ってもらうのは、少し抵抗がありますよね。
そして、海外に来て間もない頃は、そのお店で言葉が通じるかどうかも不安です。
だから、結構ハードルが高くてかなり緊張するイベントだと思います。
私は、日本人向けの生活情報が載ったフリーペーパーを参考にしていました。
そのため、日本人の美容師がいるお店へ予約して切ってもらっていました。
事実、パースという町にいた時はそうしていました。
そこは、私がオーストラリアでの大半を過ごしていた街でした。
ただ、あちこちと忙しなく各地を転々することも多いと思います。
ワーホリをしている人というのは、そういうものです。
どこでもそう都合良く、日本人の美容師を見つけられるわけではありません。
私自身も、他の都市に長期間滞在している時がありました。
セカンドビザ取得のために、北部のダーウィンという街にいました。
パースよりも小さいの場所だったので、店も日本人の数も少ないはず。
だから、髪が伸びてきたらどうしようかと本当に悩んでいました。
振り返ってみると、その程度の事が悩みだなんておめでたいな。
そう思われても仕方ないほどのことです。
しかし、その時は真剣に心配事としてどうしようかと考えていました。
なぜなら、髪が伸びやすく、くせ毛であったからです。
そんな、一末の不安を抱えていた自分の心配が消え去った出来事がありました。
それは、不思議な縁がもたらしてくれた幸運から始まったことでした。
■些細なきっかけが紡いでくれた、貴重なチャンス
私は、セカンドビザ取得のために、ダーウィン郊外のファームで仕事をしていました。
しかし、実際にそこで働くまでは、順番待ちをしなければなりませんでした。
だから、中心地の街で数週間ほど受け入れ待ちをしていた期間があったのです。
そんな暇を持て余していたある日のことでした。
街中で信号待ちをしていると、背後から英語で声をかけられました。
振り返るとアジア人の2人組で、自分とほぼ同年代くらいの女性でした。
その場で少し話を聞いてみると、その人達は台湾人でした。
隣町の飲食店で働いて帰る途中だとのことです。
しかも、ルームメイトに日本人男性がいて、なんとその人は美容師だと。
私にとって、それは願ってもないチャンスです。
ダーウィンにいる期間の散髪はどうしようかと悩んでいましたから。
私はすぐにその美容師を紹介してもらうようにお願いしました。
そして、その二人に連絡先を渡して帰りました。
そんな偶然が本当にあるか?と思われるかもしれませんが、事実です。
台湾人の女の子達が、用事もないのに話しかけたりするか?
しかも、わざわざ外国人の男に。
この様に不思議に思うのも、至極当然です。
ですが、これも噓偽りない事実です。
別記事でも触れていますが、小さな街だと人と人との距離感が縮まるのかもしれません。
もちろん、美人局の様な詐欺や犯罪に発展しそうな怪しい誘いはなかったです。
純粋に親切な台湾人の方々でした。
・・・・・・・
しかし、何日か連絡を待ってみましたが、音沙汰はありませんでした。
正直、それは仕方ないことです。
だって、いきなりルームメイトから、見知らぬ人へ連絡してあげてと。
そして、LINE IDが書かれた紙を渡されたら・・・。
実際にそうされたら、どう思いますか?
しかも、道で会って数分しか話していない程度の人にです。
顔も素性も分からない人に連絡なんて普通しません。
だから、不審がるのが当然の反応ですよね。
そこで、直接本人に会いに行こうと決めたのです。
実際に会いに行って話してみれば、怪しい者ではないと分かってもらえると思いました。
そして、その彼は、隣町にあるショッピングセンター内の美容室で働いているらしい。
という新たな情報を得ました。
割と大きめの商業施設で、館内図を見たところ理髪店が何店舗かありました。
片っ端から回ってみたら、3件目でようやく、その美容師の方と会えました。
その場で連絡先を交換し、後日髪を切ってもらう約束を取り付けることに成功したのでした。
それから、数日後に、なんと彼のシェアハウスへ招待してもらえることになったのです。
理由としては、お店で切ると高くついてしまうからとのことでした。
だから、家まで来てくれれば、10ドルでやってくれるとのことでした。
お店でカットしってもらう場合、料金は30ドルだったので、破格の金額に歓喜しました。
更に幸運だったのは、自分が泊まっていたバックパッカーから割と近かったことです。
彼が住んでいた家は、台湾人専用だったみたいです。
ですが、その時付き合っていた彼女が香港人で中国語も話せた。
だから、特別に入居が許可されたようです。
腕もよく、文句のない仕上がりにしてもらったのを覚えています。
さらに当初よりも安い、なんと5ドルにまでおまけしてくれました。
結局、その日はビールまでご馳走になり、また飲もうということで解散しました。
その後も髪をカットしてもらったり、彼女さんも交えて一緒に飲んだりしました。
ダーウィン滞在中は本当にお世話になった人でした。
一年間のオーストラリア生活で最も感謝している人の1人です。
■追い込まれたことで生まれるやる気
繰り返しになりますが、前述した内容は全て事実です。
きっかけは、道端での見ず知らずの人たちとの出会いでした。
でも、それは、ダーウィンでの生活において、非常に大きな影響を与える出来事でした。
なぜ、その様な偶然と幸運に恵まれたのかは分かりません。
ただ、自分にとって看過できない状況にいたのは確かです。
だから、ある意味、行動力を発揮できたのかもしれません。
はっきり言って、私は超内向的人間です。
自分から誰かに話しかけたりするのは、ものすごく苦手です。
加えて、面倒くさがり屋で行動力も全くありませんでした。
ですが、その時の私には明確な2つの目標がありました。
それは、英語が話せるようになることと、セカンドビザを取得することでした。
前者は、あくまで個人の主観が大部分を占めています。
しかし、後者は別です。
それを取得できるかどうかは、ファームジョブをするかしないかだけです。
そして、私はそのためにダーウィンに行きました。
それにあたり、そこでの生活で少しでも心理的な不安などを減らしたかったのです。
だから、率先力を発揮し、その結果、素敵な美容師の方と知り合うことができました。
日本人美容師に髪を切ってもらえるという、安心感を勝ち取ることができたのです。
あと、暇で孤独だったということも大きかったと思います。
元々いたパースという街で知り合った人達など、知り合いは誰もいません。
その様な、縁もゆかりもない土地で自力で生きていくには、あまりにも心細かったのです。
だから、ネットには載っていない、そこで暮らしている人達の温もりと生の情報が必要でした。
結果的にセカンドビザだけでなく、目に見えないその両方を手に入れることができました。
これは、その後の自分の人生にとって、非常に糧となる有意義な体験だと胸を張って言えます。
■大抵の心配事は、自然と気にならなくなる
別記事で触れていますが、私はワーホリ中に犬に襲われて大怪我を負いました。
かなりの重傷を負い、その時は「なぜ、自分がこんな目に遭うのだ」と嘆いていました。
まさに、思ってもみなかったトラブルでした。
一方、2人の台湾人から始まったあの出会いが、偶然にしては出来過ぎているほどです。
3ヶ月間のダーウィンでの生活は、精神的に安定していました。
これは、その日本人美容師との出会いがそうさせたと言っても過言ではありません。
どらちも予想外の出来事でしたが、これが人生なのだと思っています。
もし、あそこで、彼と出会えなかったとしても、さほどの問題ではありません。
言ってしまえば、たかが髪の毛のことですから。
しかし、結果的にファームで一緒になったワーカーの中にも美容師はいました。
外国人でしたが、その人に切ってもらうという選択肢もあったわけです。
そう考えた時、案外なんとかなってしまうものなのかもしれない。
その様に、少し拍子抜けした感じになってしまいました。
新しく出会う人たちと上手くやっていけるだろうか。
新しい環境に移る前には、必ず心配この様なが脳裏にありました。
新しいシェアハウスへの入居前、語学学校の入学前、そしてファームで働く前。
でも、結果的になんとかやり遂げました。
それになぜか、あまり緊張もしていないなということにも気づきました。
おそらく、短期間で環境の変化を繰り返していたからだと思います。
だから、それに対する抵抗感やハードルが下がっていったのではないかと感じています。
最初の頃は、スーパーや電車に乗るだけでも、かなりドキドキでしたから。
それと比べると、慣れることが一番手っ取り早い方法なのかもしれません。
結局は、不安や悩みのレベルは上がったとしても、それら自体がなくなることはないですから。
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